幻想廃墟の裏庭空間

「そこに真っ白な空白があると、何かを書きたくならない?」

寝不足で安らかな寝息を立てている私の横で。
AM4:00に設定したアラームが、部屋の中に、静かに響く。

ピアノの色は音階を一段ずつ慎重に昇り、それをささやかなコーラスが支えている。
やがて頂上まで登ったピアノは足取り軽くステップを踏むように踊り。
そして、蒼穹から落ちる隕石みたいにコーラスが叫び、ドラムとシンバル、コントラバスを添えて、音の階段を落下する。

そこからは、谷の底に堕ちて怪我をしたピアノを重低音が激しく揺さぶる。

生きるべきか、死ぬべきか、音楽の内に秘めた物語が急変を告げる中。
閉じた瞼をさらに強く、目をつむりながらテーブルに手を伸ばし。

そんな物語に、無情にも停止ボタンを押す。

それで音楽が作り出していた世界は終わり。
静寂と安眠だけが訪れる。